Discography
"Requiem ...ad Vitam Aeternam" for Trombone solo 2011-2014
「レクイエム・・・そして永遠の命へ」 for Trombone solo 2011- 2014
国際的に活躍し、新しい音楽の可能性を開拓してきたトロンボーンの名手 バリー ウェッブ の名演による横山カイン渾身の新作 - UK にてCD化

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演奏家ノート
レクイエム...永遠の命へ、は横山カイン勝巳の3作目のソロトロンボーンの作品で、現在も続く日本の作曲家達とのコラボレーションの一環です。横山は最初の企画から参画しTraces IIが The JapanProject (Metier, UK 2002) で録音され、続くBroken Branches がヨーロッパと日本で演奏されました。
2013 年、東京で作曲家達と再会した際、横山から彼が 2011 年から書き続けているというレクイエムの草稿を提示され、その後、数か月に渡り議論を重ね作品を最終化しました。大規模な作品のため 2014年 5 月には試演を実施しました。
音楽的には、2 つの前作から多くの特徴が発展拡張され、例えば、グリッサンド、ヴィブラート、四分音、ミュート、そして声といった全ての要素が非常に繊細な形で使用されています。作品の意義については、横山のレクイエムは、文化的、地理的または宗教的な境界を越えた全人類へのメッセージ、および人間の未来に希望を見出そうとする挑戦を包含しています。これは特別な強度と濃度をもった音楽なのです。
バリー・ウェッブ
作曲家ノート
本作品は、震災の犠牲者を悼むきもち、によって2011年に着手されました。作曲の過程において、「被造物全体が、今に至るまで、共にうめき共に産みの苦しみを続けている」という聖書の言葉に触発され、鎮魂の祈りと共に、死を超えて永遠の命へ向かうプロセスとして、全体が構成されるに至りました。
「音を野生のまま解き放ち、檻に閉じ込めない」というコンセプトの元、ノイズを含む特殊奏法や即興的要素を多用し、合唱付きオーケストラのような多層性や音の持つ生の感覚を、そのまま一本のトロンボーン*に一度凝縮してから異なる形に変異させたものを、伝統的なレクイエムの形式に編みこみました。
それに重ねて9つの楽章が中央の曲を軸にV字形のシンメトリックな関係を持つ全体構造となっていますがそれは、聖書の救済の構造のパラフレーズという伏線にもなっております。またこの作品は連関する複数のトロンボーンソロ曲のチクルスという性格も持っています。
全曲の音程は微分音を含む複数の特殊な音階(モード)に基づいています。
この挑戦は、Barrie Webb 氏の卓越した演奏と深い音楽性**、貴重な助言なしでは不可能でした。この場を借りて、心から御礼申し上げます。
各楽章の詳細について
1 Introit: 夜の海 霧笛 全てが深海の闇に向かってゆっくりと捩れつつ下っていく("Requiem aeternam" / 「彼らに永遠の安息を与え給え」)
2 Kyrie: 深海の悲歌、謡のような呻き、沈黙、石のように硬直した時間、それらを突き破る根源的な祈りの噴出("Kyrie eleison, Christe eleison" 「主よ、憐れみ給え・キリストよ、憐れみ給え」)
3 Offertorium: 救い主は死者と共に深層に下り、放たれた光が夜海の波に煽られ揺り動かされる
4 Sanctus: 聖霊の炎 讚美の爆発 ("Sanctus") - 心の闇の奥から
5 Benedictus: Sanctusの遠鳴り - 作品全体の台風の目
6 Agnus Dei:際限なく降り注ぐ子羊の恵み 原テキストの反復構造のデフォルメ
7 Lux aeterna: 極度に拡大された同名のグレゴリオ聖歌の背景に多様な光の断片が散りばめられている -永遠の光
8 Libera me:森羅万象の渇き・絶望からの解放を求める慟哭("Libera me, Domine" 「神よ、永遠の死から解放し給え」)
9 In Paradisum: 軛が解けて世界が蛹のように変容し、新たな永遠の命、そして平安へと向かう
― この作品を、東日本大震災における全ての犠牲者と私のかけがえのない者の魂に捧ぐ ―
横山カイン勝巳
*トロンボーンは伝統的に「聖なる楽器」とされレクイエムでは「奇しきラッパ」"Tuba Mirum"の象徴とされてきました。
**ソロ楽器は、内面的で繊細なニュアンスの表現に最も適した形態なのですが、Barrie Webb氏によるトロンボーンソロ演奏はその表現力とダイナミクスの面でもとりわけ大きな幅を実現されます。
PROFILE
Barrie Webb トロンボーン
ケンブリッジ大学にて、20世紀を代表する作曲家兼トロンボニストであるヴィンコ・グロボガールの薫陶を受け、また 指揮をコンスタンチン・プジャーヌに師事。ヨーロッパ、アメリカ、アジア、オーストラリア世界各国でリサイタル開催、音楽祭に出演。ジョナサン・ハーヴェイ等の巨匠~若手に至る数多くの作曲家とコラボレーションを重ね、トロンボーン音楽のレパートリーの開発のみならず、世界の新しい音楽の可能性の開拓をリードしてきている。また、指揮者として Firebird 現代音楽アンサンブル、ランバードダンスカンパニー、エリジョンアンサンブル他の指揮者として活躍。ハダースフィールド大学で長年教授を務め後進の育成にあたった。2012年Leverhulme Fellowshipを受賞。日本でもサントリーホールでの東京フィルハーモニーとの共演を始め、今日に至るまで、多くのコンサートを実施。2000年 7人の日本人の作曲家とのコラボレーション Japan Project を開始。新作によるリサイタルと Metier から CD を刊行した。2015年 来日し、新しい世代の芸術祭 2015でのトロンボーンリサイタル、また若手作曲家集団 Path の2015 個展にフィーチャーされソロコンサート開催。合わせて7曲の新作初演を実施。
横山カインとのコラボレーションによる Requiem... ad vitam aeternam を含む4枚の新作CDを発表。 ( Amazon UK "Barrie Webb" CDs )
横山カイン (作家について/BIOページ参照)